もうテレビに生活を合わせない 〜 検索がテレビにもたらす可能性 〜


突然だが、Googleが提供している検索エンジンは1分間で約200万回も利用されていることをご存じだろうか? ちなみにウェブ上では1分間に2億通以上の電子メールが送受信され、48時間分の動画が「YouTube」にアップロードされている。
(※参考:『HOW MUCH DATA IS CREATED EVERY MINUTE?』

このようにウェブ上には膨大なデータが常に生まれ続けているが、それでもほとんどの情報にたどり着けるようになっている。それを可能にしている一つの理由は、Googleなどの企業が提供している「検索エンジン」の存在が大きいと考えられる。
ウェブ上にあふれていた膨大な情報は、この検索という革新的な技術を中心に整理されてきた。

テレビ番組の数も非常に多く、すべての番組内容を把握している人はいないだろう。
では、この検索機能が、テレビ番組の内容も対象にするとなれば、どうなるだろうか。
今回は、このアイデアを突き詰めようとしている「SPIDER」という製品を紹介したい。
最近では韓国のサムスンやLGが、インターネット常時接続機能やテレビ放送受信以外の処理能力などを備えた「スマートテレビ」という新しいテレビのスタイルを追求しているが、「SPIDER」はまた異なった視点で独自の道を進んでいる。
製品サイトでは『「SPIDER」とは、1週間分のテレビ番組をすべて自動録画し、その中からすべての露出シーンを検索可能な新しい"テレビ”です』と紹介されている。


テレビ番組の全録画という機能自体は目新しいものではないかもしれないが、これがテレビにつなげる機器でありながら、本格的な検索能力を併せ持つというのがポイントだ。
従来のハードディスクレコーダーにも検索機能はあるが、「SPIDER」の検索は一味違う。
フリーワードですべてのシーンやCMを細かく、正確に、そして素早く検索できるのだ。

例えばあるタレント名で検索すると、そのタレントが出演するCMがすべて見つかるだけでなく、ニュースで数秒だけ取り上げられたシーンまで検出される。ワイドショーの「今日のスポーツ新聞」などで写真が写った場合でも、検索結果として出てくることさえある。

これ1台あれば、膨大な情報量の中から好きな時に番組を楽しむことができるため、テレビに自分の生活を合わせる必要はもうなくなるだろう。
ちなみにSPIDERはまだ企業向けのタイプしか提供されていないが、製品サイトを見る限り、早くて年内には一般家庭向けの製品も発売されると予想される。


また、この製品は、ユーザーがいつどのような番組を何時間見たのかというデータを蓄積し、分析をすることも今後可能となる予定だ。ウェブ上から取れるユーザー情報は、テレビの視聴率より細かく、より正確だといわれているが、「SPIDER」が普及すればその差がなくなってくる。そうなると情報が的確に分析され、各ユーザーのニーズに合ったコンテンツがより多く放送されるようになると予想され、人々のテレビライフはますます楽しいものとなるだろう。

とりあえず一般家庭向けの製品が発売されたら買いたいとも思ってます。