セールスフォース・ドットコム 会長兼最高経営責任者 マーク・ベニオフ 氏による「Cloud Computing & Collaboration」という講演だ。
アマゾンやグーグルと並んでクラウドコンピューティングをリードしてきたセールスフォース・ドットコムが10年も前から今日のような時代が来る事を予想していたという主張からプレゼンテーションははじまった。
セールスフォース・ドットコムは現在世界中で約75,000社の顧客へサービスを提供しているが、その中での日本顧客はアメリカに次いで2番目に多く、セールスフォース・ドットコムにとっても日本は大きなマーケットとなる。
「これからはクラウドの時代だ!」と意気込む人々もいるかもしれないが、気をつけてほしい点があるとベニオフ氏は述べた。それは「クラウドの利点を勘違いしない事」と彼は強調した。
「本フォーラムの展示会で様々なベンダーが提供するサービスを見てきたが、残念なことにその中にも今までとなんら変わらないサービスがいくつかあった」と彼は続けた。つまり”クラウド”という言葉を使っているだけで、本質的には従来のサービスとさほど違いのないサービスを薦めているベンダーもいたということだろう。
個人的な意見ではあるが、クラウドの利点は:
- 短時間で導入できるし、自由にカスタマイズが出来る
- 使った分だけの料金しか支払う必要がない
- 全体的なコストの削減に繋がる
- 柔軟に拡張できる
この辺についてはセールスフォース・ドットコムが作成したビデオがあるので是非見てほしい。これほど分かりやすい「クラウド・コンピューティング」の利点を説明したビデオに私は未だに出会った事がない。
ちなみにベニオフ氏はマイクロソフトのモデルを「馬鹿げている」と一掃した。
覚えている限りで説明するが、彼はこのように力説した:
「クラウドを使用すれば、全員が同じ最高品質のサービスをすぐに使う事が出来る。しかも使った分だけしか料金はかからないし、導入までの時間も短ければ、導入コストも低い。マイクロソフトなんてウィンドウズ7を全てのコンピュータにまたインストールさせようとしている。オフィス2010だってそうだ。しかもアップグレードは無料でもなければ、全てのコンピュータにインストールするまでに時間と労力がかかりすぎる。一体いつまでこのようなくだらないモデルを消費者に使わせて金を奪うのだ。」
※実際にはこんな表現ではなかったかもしれないが、私にはこのように聞こえたので悪しからず。
世界ではインターネットの利用方法がどんどん進化してきている。
GoogleやAmazon、そしてEbayなどでお目当ての情報を「検索」する“クラウド1.0”からYouTubeやTwitter、そしてFacebookなどでソーシャルに「交流」する“クラウド2.0”の時代に世界はシフトした。
「“クラウド1.0”っとか分からないわ」という方々のためにはこんなデータもある。
Eメールを通して動く情報量よりもソーシャルメディアを通して動く情報量のほうが今や多いのだ。つまり日本で言えばEメールをよりもツイッターやミクシィの利用料の方が多くなるという事になる。
ここからベニオフ氏は本題に入る。
「ビジネスアプリケーションもFacebookやTwitterのように楽しくあるべきである。それであってプライバシーやセキュリティーなども万全なサービスが必要になる」と彼は述べた。
私のこの長い投稿をまだ読んで頂いている皆さんなら恐らく感じた事があるかもしれない。
「ウチの会社の社員全員がグーグルアカウントやTwitterやFacebook、そしてiPhoneなどを使いこなせたらどれだけ効率の良い仕事が出来るだろう」と。。
ひろゆき’s意見だが、「出来る人」はあらゆるウェブサービスやツール等を使いこなす。例えばの話だが、私の中での「出来る人」は以下のような事を既に実行している筈だ:
- GmailとiPhoneを自動同期することによって隙間時間にメールを確認できる環境を構築している
- スケジュールだってグーグルカレンダー等を使用して複数人で共有し、これもまたiPhoneと自動同期する
- データ等はDropboxやEvernoteを活用し、いつでもどこでも引き出せるようにしている
- 顧客のデータ等はGIRDYやZOHO等の無料CRMを駆使して管理している(ちなみに企業内で統一して使用するならばセールスフォース CRMが断然お薦めだ)
- Twitter、Facebook、そしてMyspaceなどを通して自分と価値観の合う人々が集うコミュニティーを形成することによって、自分が欲しい情報が自動的に集まる仕組みを作っている。また、Google Formなどを使用して疑問などはこのコミュニティーに投げればすぐに適切な答えが返ってくる環境を築いている
- もっとスゴイ人で言えば、Foursquareやブログなどを活用し、自分がいつ、どこで、どんな事をしていたか等の情報をすぐに引き出せる環境を用意している。Ustream等を使用して独自の番組配信をし、「自分ブランド」を磨き上げる人々だっている
挙げだしたらキリがないが、ここで考えて頂きたいのは、「上記で挙げた仕事の質と効率をアップさせられるサービスやツールが一つに統合され、信頼できるサービスとなって提供されたらビジネスはどう変わるのか?」という点だ。
ベニオフ氏はビジネスに不可欠なソリューションの全てが含まれる「Salesforce Chatter」を紹介した。
「チャッター」を「Salesforce CRM」等と連携して活用すれば、先ほど挙げた「出来る人」がやっている事が一つのプラットフォームに統合され、社内で簡単に使えるのだ。
「チャッター」の機能を説明すると時間がかかりすぎるので、セールフォース・ドットコムが用意したビデオでまずは概要だけでも知って頂きたい。
FacebookやTwitterを使用している人ならばこの便利さが分かるはずだ。
もちろんiPhoneやBlackberry用のアプリケーションも出ており、仕事に必要な情報が確認できるだけでなく、編集も出来れば、位置情報を加えてレポートを提出する事だってできる。
もちろんセキュリティーは万全だし、アップグレードのための追加料金などは一切かからない。しかも何度も言うが使用した分だけの料金しか必要ではない。
「既にウェブ上にある人気サービスを企業用に全て統合したサービスじゃん」と感じる方もいるかもしれないが、その通りだ。でも「こんなのあったらいいなぁ」と分かっていても実際にこれほどのサービスをこのコストとで提供できる企業は今日現在ではセールスフォース・ドットコム以外にいないだろう。
クラウドコンピューティングを築き上げたセールスフォース・ドットコムがいて、クラウドを利用したサービスのあり方を進化させたFacebookやTwitterがいる。それを今度は企業用に向けて更にセールスフォース・ドットコムが改良する。このように世界が良い方向へ進化するという事実は私としては大歓迎だ。
「チャッター」が企業で活用されるようになるとビジネスのあり方は劇的に変化する。日本国内とかそんな小さい話ではなく、世界でのビジネスのあり方が変わるのだ。
「デジタルデバイドが進むと使えない人がかわいそうだ」とかくだらない事を言う人達は勝手に愚痴をこぼしていればいい。5年後には「愚痴を言ってる暇があったら、時代についていけるように頑張るべきだったなぁ」と後悔していることだろう。
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